「TOKYO狩猟部」という名前を人に話すと、「私も釣り好きなんですよ〜」とよく言われる。・・・申し訳ないのだが、私は「釣り」はどうも苦手なんですよ。釣りが下手くそってことじゃなくて、好きじゃないってこと。何が苦手かというと、あの「オトナが道具にお金をかけてウンチクを語り合う世界観」が、ちょっとね・・・。ちょうど、本来の「スポーツ」とは違う世界観で覆われている「ゴルフ」に似てるかなあ。「原始的じゃない」「本能的じゃない」って感じ?それこそ、なんだか「不自然」。瀬戸内で育ったうちの親父がよく言ってました、「釣りなんていうのは、そこら辺の棒っきれに糸と針をつければ釣れんだよ」と。だから、今の「釣り」の世界は、むしろ、本来「狩猟」が持っている価値観とは真逆のところにあるように見えてしまうのです。
Illustration by SATOMI.
で、今回の狩猟は「アナジャコ釣り」です。おいおい「釣り」じゃねえかよおっっ!!!まあまあまあ、落ち着いて。アナジャコというのは干潟に深い穴を掘って住んでいる10〜20cmくらいの生き物で、寿司ネタに使われるシャコのような感じの見ばえ。だけど、じつはシャコとは関係なく、どちらかというとヤドカリに近いものらしい。こいつを「釣る」のですが、竿や糸や針はもちろん、エサさえも使わない。使うのは、なんと習字の筆!なんか子供の遊びみたいで、これこそ「狩猟」という感じだあねえ。
丸い巣穴に筆を差して置いておくと・・・
アナジャコは河口付近の海や川の干潟に生息しています(専門的に言うと「汽水域」という海水と淡水の混ざったところ)。私らがアナジャコを獲っている場所は、東京の某有名河川の河口付近。干潮で出現した干潟の表面をカマやクワで削ると、直径2cm前後のキレイな円形をした穴が現れます。これがアナジャコの巣穴。まるで人工的に開けられた穴のように、その輪郭はクッキリとしている。集中しているところだと、5cm間隔くらいに無数の穴が現れます。このアナジャコの巣穴、深さは2mにも及ぶらしいですよ。
筆先と一緒につまみ上げる。これが美しいつかまえ方
この穴たちに、100均で買ってきた筆をズブズブと差し込んでやります。そして、しばらく待って見ていると、勝手に動き出す筆がある。モソモソと上に押し上げられている。これが、アナジャコの仕業。アナジャコは、巣穴に他の生物などが入ってくると、それを排除すべく穴の外まで押し出そうとします。その習性を利用して、筆を突っ込んで奴らを「釣る」のです。
Copyright © 2008 Nimaigai. All Rights Resreved.